2021/05/17
飲食店がとるべき10のコロナ対策|マスク会食・アクリル板・CO2センサーについて
新型コロナウイルスの感染拡大対策による外出自粛、時短営業などで、飲食業界はいま、厳しい試練にさらされています。しかし、そのような状況だからこそ、しっかりと自店のコロナ対策を検証し、正しい施策を打っていく姿勢が求められています。
この記事では、飲食店で必要とされるコロナ感染対策についてご紹介します。いま行なっている対策が正しいのか不安、また、より効果的な対策を行うためにはどうすればいいのかと思案されている外食・飲食業界の方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
目次
飲食店に求められる感染対策
飲食店は人が集い、会話を楽しむことが魅力の場所なだけに、飛沫も飛びやすく感染が懸念されがちです。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解(令和2年3月9日及び3月19日公表)によると、クラスター感染発生リスクの高い状況を回避するためには、以下のことに取り組む必要があるとしています。
①換気を励行する
換気の悪い密閉空間にしないよう、換気設備の適切な運転・点検を実施する。定期的に外気を取り入れる換気を実施する。
②人の密度を下げる
人を密集させない環境を整備する。会場に入る定員をいつもより少なく定めたり、入退場に時間差を設けるなど、動線を工夫する。
③近距離での会話や発声、高唱を避ける
大きな発声(声援など)をさせない環境づくりを心がける。共有物の適正な管理や消毒も徹底する。
具体的には、以下のことにしっかりと取り組むようにしましょう。
マスク着用会食の周知
飛沫感染を防ぐために、いま一度、マスク着用の大切さを再認識しましょう。
従業員がマスクの正しい着用を徹底するのは当然として、お客様には「食事中以外のマスク着用」についても、店内に掲示したり、お声がけをするなどして協力を促しましょう。
以下は、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室が作成したポスター「マスク会食で守って欲しいこと」で呼びかけている、食事中の感染リスクを下げつつ会食を楽しむ方法です。ダウンロードも可能ですので、店内に掲示することもご検討ください。
神奈川県は店舗等で「マスク飲食」を呼びかけるツールとして、「マスク飲食」店内説明カードを作成。
加えて「マスク飲食実施店」認証制度を設けるなど、飲食時の新マナーとして「マスク飲食」を積極的に呼びかけています。
この制度は、県のホームページから必要事項を入力・申請した店舗へ、県が現地確認を実施。その結果に基づき、マスク飲食実施店認証書を交付、認証店舗に支援のためのマスク等無料提供をする制度です。特に優れた店舗には、「マスク飲食完全実施店」として県から表彰されることもあります。コロナ対策をより万全なものにするためにも、このカードや認証制度を活用することも考えてみてはいかがでしょうか?
「マスク飲食実施店」認証制度ほか 神奈川県におけるマスク飲食への取り組みはこちらから。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/mask/index.html
マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保といった感染防止策に協力していただけないお客様は、入店を断るという対応も検討する必要があるでしょう(すでに入店されている場合も含め)。
なお、疾患などによりマスクの着用が困難な方や、窒息や熱中症のリスクが高いとされるお子さんについては、その限りではありません。
体調不良者は来店させない
店舗にウイルスを持ち込ませないように、発熱など体調がすぐれない人の入店はどのような立場であろうとお断りする必要もあるかもしれません。
従業員は出勤前に必ず体温を計り、発熱や風邪の症状がみられる場合は、店舗の責任者にその旨を報告し、出勤してもよいか判断を仰ぎましょう。
また、店頭には非接触温度計などを設置して、熱のある人や、せきなど風邪の症状が出ているお客様や取引先については、入店をお断りすることも必要な対応となります。
来店者の密集を避ける
飛沫感染や接触感染を防止するためには、人と人との間隔を十分にとることが大切です。
来店者が密集しないように以下のことに取り組みましょう。
・店内が混み合う時間帯(12:00~14:00、18:00~21:00)はお客様の入店を制限する。
・混雑回避のためにオンラインでの日時指定予約などを導入する。
・店内飲食やテイクアウトで順番待ちをする場合は、お客様同士が1m以上の間隔を空けられるよう整理・誘導する。
・グループのお客様の安全を確保するためにも、他のグループ客とはできるだけ1m以上の間隔を空ける。スペースに余裕がある場合は対面を避けた着席をお願いする。
パーテーションの設置
レジやカウンター席など、従業員とお客様が対面になりやすい、また1mのソーシャルディスタンスが取れない場所には、アクリル板などのパーテーションを設置することで、飛沫から身を守る効果が期待できます。
客席におけるパーテーション設置の仕方は、カウンター席とテーブル席で異なりますので、以下で確認しておきましょう。
① カウンター席の場合
パーテションパーテーションは、以下のように隣の席との間の両サイドに設置してください。
② テーブル席の場合
テーブルとテーブルの間が1m未満しか空いていない場合は、テーブル間にもパーテーションや飛沫防止用のビニールを設置する必要があります。
テーブル席で前面にパーテーションが設置されていても、隣の席との間に設置していない場合は、席の間を1m以上空けること、もしくは対面にならないように隣の席を使用しないことが必要です。
パーテーションは透明のものを使用することで圧迫感を減らし、店内を広く見渡すことができます。天井から吊り下げるビニールタイプや、自立できるアクリルタイプなど、店舗の状況に応じて使い分けるようにしましょう。
施設の換気
「換気の悪い密閉空間」は、コロナ感染の高リスク要因です。正しい換気方法で常に新鮮な空気と入れ換えるよう心がけましょう。
① 機械換気の場合
常時稼働させるなど徹底した換気を行ってください。また、換気設備のフィルターの清掃等はこまめに行ってください。
必要換気量を満たすことのできる機械換気設備等が設置された飲食店では、以下のとおり換気を行ってください。
・機械換気設備等の外気取り入れ量等を調整することで、必要換気量を確保する(一人あたり毎時30㎥)。
・冷暖房設備により、室内の温度および相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持すること。
② 自然換気の場合
換気力は機械換気の方が強いですが、窓を開放する自然換気でも十分な換気を行うことは可能です。
その場合、30分に1回以上、数分程度、二方向の窓を全開することにより、部屋の空気がすべて外気と入れ変わるようにしましょう。窓が一つしかない場合は、ドアも開けてください。
なお、寒さなどで窓が十分に開けられない場合は、室内の温度および相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持できる範囲内で暖房器具を使用しながら、一方向の窓を常に開け放して連続的に換気を行うようにしましょう。
また、上記数値を保とうとすると、窓を十分に空けることができない場合は、窓からの換気と同時に可搬式の空気清浄機を併用するようにしましょう。
その場合の空気清浄機は「HEPAフィルターによるろ過式」かつ「風量が毎分5㎥程度以上」のものを使うようにしましょう。
CO2センサーの設置
換気が必要かどうかを判断するためには、二酸化炭素濃度を把握する必要があります。
CO2センサー(二酸化炭素濃度測定器)を使用すれば、必要換気量を満たしているかを確認することができます。室内の二酸化炭素濃度が一定水準(目安1,000ppm)を超えないように換気や収容人数を調整してください。
換気の方法・CO2センサーの詳しい使い方についてはこちらをご覧ください。
消毒液の設置と手指消毒の徹底
来店者に対しては、店頭に消毒液を設置し,手指の消毒を徹底するよう掲示や声がけなどで促しましょう。
従業員に対しては、更衣室や休憩室に入退室する前後で手洗い・消毒を徹底するように指導します。また、食べ残し、鼻水、唾液などが付着した可能性のあるゴミを回収する場合は、手袋とマスクを着用した上で、ゴミをビニール袋等に入れて密閉するようにします。マスクや手袋を脱いだ後は、必ず手を洗うように習慣づけさせましょう。
店舗の定期的な消毒
店内を常に清潔に保つよう、ドアノブ、券売機、セルフドリンクコーナー、トイレのレバーや照明器具のスイッチといった不特定多数の人が触れる部分は、定期的にアルコール消毒液で清拭します。
また、テーブル、イス、パーティション、メニューブック、タッチパネル、卓上ベル等、客席にあるものについては、お客様の入れ替わるタイミングや忙しい時間帯の前後に、アルコール消毒液や台所用洗剤(界面活性剤)で拭くようにしましょう。
なお、店舗の制服や店舗で着用した私服は、こまめに洗濯することも大切です。
直接接触を避ける
人同士の直接接触を避けることも、感染防止には大切です。
・会計手段には、なるべく電子マネー等の非接触型決済を導入する。
・現金、クレジットカード等の受け渡しが発生する場合には、手渡しで受け取らず、コイントレイなどを使用する。コイントレイは定期的に消毒し、従業員は会計の都度手指を消毒する。
・お客様同士でのスプーンや食器の共有、使い回しは避けるよう、また、お酌、グラスやお猪口の回し飲みもしないよう店内に掲示して注意を促す。
・共用タオル等は使用しない。
大声を出さない工夫
大声で話したり歌ったりすると、マイクロ飛沫といわれる細かい飛沫(100分の1㎜以下)が発生し、室内を20分ほども漂うことが確認されています。
ウィルスを含んだマイクロ飛沫を吸い込むことで、気道粘膜から感染する可能性があるため、店内で大声を出さなくてもいいような対策を講じる必要があります。
例えば、BGMは会話の邪魔にならないようボリュームを控えめにし、カラオケ設備がある店舗は、その使用を控えるようにしましょう。
事業者向け認証制度でコロナ対策をP R
自店舗のコロナ対策を、客観的指標でチェックしたい、さらに万全にしたいという方は、官公庁などが提供している事業者が実施すべき項目を記載したチェックシートを活用してみましょう。項目を実施、申請することにより、ステッカーなどの認定ツールの取得も可能ですので、コロナ対策をしっかり行なっている店舗であることを発信するためにも、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
感染防止徹底宣言ステッカー(東京都)
東京都が作成した、飲食店をはじめとする事業者が実施すべき感染防止対策を掲載した業種別のチェックシートで実施項目をすべて達成し、専用フォームから申請すると、「感染防止徹底宣言ステッカー」を取得することができます。このステッカーを店舗等の目立つところに掲示することで、お客様が安心して利用できる施設であることを周知することができます。
感染防止徹底宣言ステッカー(東京都防災ホームページ)の概要はこちらからご覧ください。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1008262/1008420/index.html
「レストラン、料理店等編」のチェックシートはこちら。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page/001/008/429/22.pdf
「居酒屋編」のチェックシートはこちら。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page/001/008/429/23.pdf
感染防止宣言ステッカー(大阪府)
大阪府は、各業界団体等が専門家の知見を踏まえ作成した「新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン(業種別ガイドライン)」を遵守している事業者を対象に、必要事項を登録することで「感染防止宣言ステッカー」を発行しています。対象となる店舗は以下の通りです。
・「新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン(業種別ガイドライン)」が策定されている施設。
・特に、過去にクラスターが発生した施設(ライブハウス・カラオケ・スポーツクラブ・接待を伴う飲食店)及び飲食店(居酒屋等)については、ステッカーの導入を強く推奨。
「新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン(業種別ガイドライン)」はこちら(飲食店は18p/内閣官房ホームページより)
https://corona.go.jp/prevention/pdf/guideline.pdf
事業者の皆さんは、ステッカー登録の前に、必ず最新のガイドラインを確認し、自店の取り組み状況を確認するようにしてください。
「感染防止宣言ステッカー」の新規発行はこちらから。
http://www.pref.osaka.lg.jp/smart_somu/osaka_qr/toroku_mypage.html#torokusarerumaeni
コロタツ検定
コロタツ検定とは、コロナ対策グッズ特設サイト「コロタツ」を運営する弊社が提供する、新型コロナウイルスの感染対策に対する取り組みの度合いを示す判定基準です。
その具体的な判断基準となる「法人用 感染対策チェックリスト」は41項目からなり、このリストで自社の取り組みを確認することで、企業が取り組む感染対策を客観的に評価することができ、その達成レベルに合わせて3種類の認定マークを発行。
左から、「黒帯」は41項目中41項目達成、「茶帯」は40項目達成、「緑帯」は25項目以上41項目未満達成を示します。
これらの認定マークは、ホームページ、名刺、受付などに掲示することで、感染対策に積極的な企業として、取引先はもちろんのこと、社員、社員の家族、株主、未来の社員など、あらゆるステークホルダーに安心感を与えることができます。
まとめ
この記事では、感染防止のため飲食店がぜひ取り組んでおきたいコロナ対策について解説しました。
飲食店での感染リスクを最小限に抑え、従業員とお客様が共に安心して過ごせるようにするには、店舗が徹底的な感染防止対策を取ることが大切であるとともに、その取り組みを客観的な尺度で評価、改善を繰り返す必要があります。
新型コロナウイルスにより飲食店が受けた影響は計り知れません。できる対策からひとつずつ実施してみることから始めていきましょう。
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