2021/04/26
感染予防に適しているのは布マスク?不織布マスク?重ね付けの効果もチェック
新型コロナウイルス感染症など、咳やくしゃみで生じる飛沫により感染が広がる病気の予防には、マスクが有効とされています。
しかし、マスクの素材には布・不織布・ウレタンなどさまざまな種類があるため、どのマスクを選ぶべきか悩んでしまうでしょう。
そこで今回は、布マスクと不織布マスクの感染予防効果のほか、最近よく取り上げられている「二重マスク」の効果について解説します。
目次
布マスクと不織布マスクの重ね付けは「マスクを顔にフィットさせること」が重要
最初に、マスクの素材ごとの感染予防効果と、布マスクと不織布マスクを重ね付けした場合の効果を見てみましょう。
そもそも布マスクと不織布マスクの違いは?
布マスクは、ガーゼをはじめとした布素材のマスクの総称です。
洗って繰り返し使えるのが特徴で、感染症の予防だけではなく防寒目的で使われることもあります。家庭で作るハンドメイドのマスクも、多くは布マスクです。
一方、不織布マスクは繊維を化学的・熱的・機械的に処理してシート状にした「不織布」を素材とするマスクです。不織布は、2000年代に入ってから家庭用マスクの素材として使われるようになり、現在では流通しているマスクのなかで最も一般的なものとなっています。不織布マスクは、布マスクのように洗って繰り返し使うことはできません。使い捨てが前提で衛生的に使えることから、医療や介護の現場でも広く活用されています。
布マスクは不織布マスクより感染予防効果が低いと思われがちですが、それは一概には言えません。。
咳やくしゃみで吐き出された飛沫をとらえる効果は不織布マスクとほぼ同じで、約80%軽減できるという結果が示されています。
ただし、布マスクが空中に浮遊している飛沫の吸い込みを抑える効果は、50%にも達しないと言われており、後述する不織布マスクほどの高い効果は期待できないのです。
このようなことから、布マスクは「身を守るマスク」というより「周囲の人を守るマスク」といえるでしょう。
不織布マスクの感染予防効果
前述したとおり、不織布マスクは布マスクと同じように、飛沫の吐き出し量を80%程度軽減することがわかっています。
そして、不織布マスクをきちんと装着すれば、空中に浮遊している飛沫の吸い込み量を70%程度減らすことが可能と言われています。
周囲の人を守るだけではなく、マスクをしている人自身を守る不織布マスクは、やはり感染拡大を防ぐために欠かせないアイテムの一つといえるでしょう。
布マスクと不織布マスクを重ね付けした場合の効果
最近増えている、布マスクと不織布マスクの重ね付け効果はどうなのでしょうか。
実際のところ、マスクの重ね付けの効果については、専門家のあいだでも意見が分かれています。
まず、話題の発端となったアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告では、不織布マスクの上に布マスクを重ねたところ、咳からの粒子(飛沫)が92.5%遮断できたとされています。
一方、日本のスーパーコンピューター“富岳”によるシミュレーションでは、二重マスクをした場合と、一枚の不織布マスクをすき間なく装着した場合では、感染予防効果はあまり変わらないという結果が示されました。
どちらが正しいのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで注意しなければならないのは、「2つの実験で使用された飛沫のモデルやマスクの性能が同じではないかもしれない」という点です。実験の手順や条件が異なれば、当然のことながら結果の比較はできません。
いずれにせよ、感染予防効果を高めるためには、マスクと顔とのすき間をできるだけ減らすのがポイントであることは明らかです。
まず、マスクをすき間なく正しく装着することが、感染予防の第一歩といえるでしょう。
重ね付けする場合の順番
マスクを重ね付けする場合は、不織布マスクのフィルター機能と布マスクのフィット性の良さを活かすことを意識しましょう。
重ね付けをする場合、顔側には不織布マスクを使うのがおすすめです。耳にマスクのひもをかけたらマスクの下部分をあご先まで伸ばし、ノーズフィッターを顔のカーブに合わせて曲げましょう。頬の部分にすき間ができないように、微調整するのを忘れないでください。
不織布マスクを正しく装着したら、次は布マスクをつけます。布マスクは、不織布マスクより少し大きめのものを選ぶのがポイントです。顔との間にすき間を作らないよう、注意しながら装着してください。
なお、不織布マスクと布マスクを重ね付けしても、感染予防効果が2倍になるわけではありません。咳エチケットを守って手洗いをするなど、他の感染予防対策も併せて行ないましょう。
マスクにはどのような種類がある?強力なマスクは?
マスクは、用途によって「産業用マスク」「医療用マスク」「家庭用マスク」の3種類に分類されます。では、それぞれのマスクの特徴や効果を詳しく見てみましょう。
産業用マスクは、工業用マスクあるいは防塵マスクとも呼ばれます。空気中の微粒子から作業者を守るために欠かせないものですが、目が非常に細かいため長時間の使用には向きません。
粉塵の量・性質に応じた商品が多数開発されており、口や鼻だけを覆うものから顔面全体を覆うものまで、さまざまなタイプがあるのが特徴です。
産業用マスクのなかには、医療用にもよく用いられるN95マスクと同程度のフィルター機能を有するものもあります。ただし、流通経路が限られているため、一般の方が入手するのは困難でしょう。
医療用マスク
医療現場で使用されるマスクで、外科手術時に使用するサージカルマスクやN95マスクが該当します。サージカルマスクの素材は不織布ですが、家庭用の不織布マスクに比べて目が細かいのが特徴です。
呼吸のしやすさ・血液などが付着したときのしみこみにくさ・延焼性などにも細かな基準があり、医療者と医療を受ける人の双方を守るさまざまな工夫が施されています。
家庭用マスク
家庭用マスクは感染予防以外にも、花粉やPM2.5対策、防寒・保湿などさまざまな目的で使用されています。産業用マスクや医療用マスクに比べて通気性が良く、長時間つけていても息苦しくなりにくいのが特徴です。
マスクの素材としては、ガーゼや不織布が使われることが多いですが、通気性が良く繰り返し使用できるウレタンマスクの人気も高まっています。
家庭用マスクは、素材・サイズ・形状・色柄などがさまざまなタイプから選べるため、フィット感の良いものをTPOや目的に合わせていくつか用意しておくこともおすすめです。
アイグッズのおすすめマスクを紹介!
ここからは、アイグッズのおすすめマスクの紹介です。
今回は、数あるマスク商品のなかから、優れたフィルター機能を有する「不織布マスク」、吸水速乾素材を使用した「快適マスク」、サイズ調整が可能な「調整マスク」、口元が透明なPET素材になっている「透明マスク」の4点を紹介します。
極太耳紐 不織布マスク
アイグッズの不織布マスクは、細菌ろ過効率(BFE)・ウイルスろ過効率(VFE)・微粒子ろ過効率(PFE)の各試験で、花粉やウイルスを99%カットしたフィルターを使用しています。
3層構造で有害物質に対する遮断効果を高めているだけではなく、立体構造で顔のラインにフィットしやすいのが特徴です。また、耳ひもについて、すぐ取れないかどうか全数検品を行なっています。
快適マスク
快適マスクは、一日中装着していても不快感を覚えにくい吸水速乾素材のマスクです。蒸れにくく呼吸がしやすいため、通年使用にも適しています。
使用している生地は伸びの良いストレッチ素材で耳が痛くなりにくく、フェイスラインにすき間ができにくいのも大きな特徴です。
なお、快適マスクはオリジナルで作成することも可能です。手洗いして複数回の使用も可能なため、コスト削減効果も期待できます。
調整マスク
調整マスクは、耳ひもにアジャスターを付けたサイズ調整が可能なマスクです。男女兼用なので、企業・団体のまとめ買いにも適しています。
調整マスクは、通気性の良い接触冷感生地を使用しているため、蒸し暑さや息苦しさを大幅に軽減できるのが特徴です。
また、生地に厚みがあることで、繰り返し洗ってもほつれにくくなっています。紫外線遮蔽効果が高く、UV対策にも活用できる汎用性の高いマスクといえるでしょう。
透明マスク
透明マスクは、口元が透明でやわらかいPET素材になっている、新しいタイプのマスクです。口元の細かな変化や表情を隠さないため、接客業や新卒者の採用面接時、福祉・介護施設など多くのシーンで活用できます。
一枚ずつ個別に包装しているため、衛生的で携帯しやすいのも大きな特徴です。オリジナル台紙の作成やマスク本体に企業ロゴを印刷することも可能なので、ノベルティグッズとしても利用できるでしょう。
布マスク・不織布マスクともに、新型コロナウイルスなどの感染を完全に防ぐものではありません。それは、マスクを重ね付けした場合でも同じことです。
感染拡大を防ぐためには、3密を避ける・ソーシャルディスタンスを確保するなど、他の対策も必要です。あくまで感染対策の一環として、マスクを上手に活用してください。
まとめ
感染対策に二重マスクが活用されていますが、大切なのは「マスクを重ね付けすること」ではなく、「マスクを正しく装着すること」です。
飛沫の侵入・拡散を防ぐために、顔とマスクの間にすき間ができないように注意しましょう。
マスクを重ね付けする際は、フィルター性能の高い不織布マスクを顔側に、顔にフィットしやすい布マスクを外側につけるのがおすすめです。アイグッズの不織布マスクと快適マスク・調整マスクの併用も、ぜひ試してみてください。
新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに続いていますが、マスクを正しく装着して感染しにくい環境を作りましょう。
文・監修:中西 真理(薬剤師)
1995年薬剤師免許取得。薬学修士。
医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。
現在は、フリーライターとしておもに病気や薬に関する記事を執筆。
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