2021/04/20
良いマスクの選び方は?全国マスク工業会の認定マークを基準にして、安全品質のマスクを選ぼう!
新型コロナウイルス感染症の流行により、マスクの需要が大幅に高まりました。
感染症予防のため、従業員にマスクの着用を義務付けている企業も多く、いまやオフィスにマスクを備品として、数多く常備していることも珍しくありません。
しかし、会社でマスクを購入する時に、「選択肢が多すぎて、どの商品を選べば良いかわからない」「マスクを会社の備品として注文したものの、品質が悪く使い物にならない」といったお悩みを持つ総務担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、
・安全性が高く、高性能なマスクの選び方
・マスク選びの基準として使える「全国マスク工業会の認定マーク」
・偽物の認定マークを見分ける方法
・認定マークがついているマスクはなぜ安心なのか
についてお伝えしていきます。
是非この記事を参考にして、会社の感染症対策を万全にしましょう。
目次
高品質なマスクとは
まずは、高品質なマスクとはどんなマスクなのか、基準を知っておきましょう。「そんなの自分では分からない!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この記事ではそんな方に向けて高品質なマスクを簡単に見分ける方法も紹介しますので、安心してください。
◇耳が痛くならない、丈夫な紐
マスクを使う際によくあるお悩みが、マスクの紐で耳が痛くなってしまうということです。特に今は長時間のマスク着用が必要になりますので、痛くなりにくいタイプのものを選定した方が良いでしょう。
また、品質の低いマスクだと、マスクの紐がすぐに切れてしまうということもあります。安く購入したマスクでも、すぐに紐が切れてしまうようだと結局その分を買い足さなければいけなくなり、意味がありませんよね。
耳が痛くならないというポイントの他、すぐに切れない丈夫な紐かどうかもマスク選びの基準となります。
しかし、そういった基準を「マスクを付ける前」に気付くことは非常に難しいため、粗悪なマスクを購入してしまうケースも度々起こり得ます。
◇品質、安全性を証明する試験を行っている
会社でマスクを用意する目的は感染症対策のためですから、なるべく飛沫の侵入を防ぎ、従業員が安心して使用できる安全性の高いマスクを選びたいですよね。
そこで基準となるのが、品質や性能、安全性を表す試験結果です。マスクは一見すると、どれも同じに見えるかもしれませんが実は多くのタイプがあり、性能もタイプによってさまざまです。
一つ、マスクの性能を左右する指標となるのは「ろ過率」です。ろ過率とは、マスクのフィルター部分でどれだけの大きさの粒子をどの程度カットできるかの示す指標のこと。一般的には「遮断率」とも言います。よく、マスクのパッケージで「PFE、BFE、VFE」などのアルファベットを見かけることはありませんか?これが、マスクのフィルター部分の性能を表す基準です。
これらの試験の測定値(パーセント)が高いほど、マスクの遮断性能が高いことを示しています。例えば、「PFE99%」という規格のマスクであれば、「微粒子を99%遮断できる」ということを表します。
また、マスクには、ホルムアルデヒドや染料など、含有量によっては人体に悪影響を及ぼす危険性がある原材料が使用されている場合があります。従業員が安全にマスクを使うためには、こうした化学物質の含有量が、安全な基準値をクリアしていることを証明する試験を行っているかもマスク選定のポイントとなるでしょう。
◇誇大広告をしていない
「遮断率99%!」「医師のおすすめ」などとパッケージに記載されているマスクを見たことがありませんか?もちろん、先述した試験などをきちんと実施しているマスクもありますが、中には正式に効果を実証できる試験や第三者の証言が無いままに、誇大広告をしているマスクもあるのが現実です。
こうした宣伝文句を掲げているマスクを見た際には、先ほどの「PFE、BFE、VFE」といった試験結果が記載されているかなども注意して確認するようにしましょう。
◇安全な環境で製造・管理されている
マスクは肌に直接触れるものなので、衛生面で問題のない安全な環境で製造・管理されているかどうかも気になるポイントです。しかし、マスクを購入する側からは、製造環境まで確認することはできませんので、これから紹介する「全国マスク工業会の認定マーク」を参考にして選ぶことをおすすめします。
◇変色や異臭がない
低品質のマスクだと、まれに変色や嫌なにおいがする場合があります。こうした異変があると、ずっとマスクをしているのも嫌になってしまい、先述したようにマスクを製造・管理する環境も大丈夫なのか不安になってしまいますよね。
迷ったら、全国マスク工業会の認定マークがあるマスクを選ぼう
ここまで品質の高いマスクを選ぶ基準をお伝えしてきましたが、これらの基準を満たすマスクかどうかを、買う前に自分で見分けるのはとても難しいですよね。
そこで、これから企業でマスクを購入する際にぜひ参考にしていただきたいのが、この「全国マスク工業会の認定マーク」です。
※これはWebページ掲載用のサンプル画像です。
画像引用:http://www.jhpia.or.jp/standard/mask/mask2.html
このマークは、さきほどお伝えしたマスク選びの基準になっていた試験結果の証明や、製造する環境、安全性の基準、広告表示の仕方など、厳しい基準に合格したマスクのパッケージにしか使用することができません。
そのため、自分でマスクの品質が見分けられなくても、この認定マークがついたマスクであれば、一定の品質は担保できていると簡単に判断することができます。
全国マスク工業会とは
とはいえ、全国マスク工業会がどういう団体なのかが分からないと、認定マークの安心度がよく分かりませんよね。
全国マスク工業会は、厚生労働省よりマスクの使用表示の検討が要請されたことをきっかけに、2005年3月に発足した業界団体です。
家庭用・医療用マスクの製造・販売・輸入を行なう企業で構成されていて、厳密な審査により、取り扱っているマスクの安全性を認められた企業のみが入会することのできる団体です。
これまで日本国内では、医療用マスクや家庭用マスクは性能についての検定規格がなく、メーカーによって商品表示や広告内容が異なりました。
そのため、消費者にマスクの性能について誤解を与えてしまうケースがあることが問題となっていたのです。
こうした問題を解決するため、2006年1月に全国マスク工業会はマスクの表示・広告自主基準を策定しました。
消費者保護の観点から、商品表示に対する社会的責任を果たすため、会員企業にマスクの表示・広告自主基準の遵守を呼びかけています。
なんで認定マークが入っているマスクは安心なの?
この全国マスク工業会に入会し、商品と商品表示審査を通過したマスクのみが、「全国マスク工業会の認定マーク」を使うことができます。
商品審査には複数の項目があり、
・製造工場は安全な環境か
・化学物質の含有量は安全な基準値を守っているか
・商品表示は適切か
・マスクの試験方法と評価は適切か
といった基準をすべてクリアする必要があります。
1つ1つの項目がどんなものなのか、具体的に解説をしていきます。
◇製造工場は安全な環境か
まず、マスクが製造・管理されている環境は安全で衛生面で問題がないかが審査されます。具体的には、以下のような項目が基準として設けられています。
【製造施設・構造】
(1)製造区域は採光・照明、換気などに留意した構造であること。
(2)便所は隔壁によって製造区域と区画されていること。
(3)製造所は防虫・防鼠対策を考慮した構造であること。
(4)製造所に作業者用の手洗い施設を設けること。
【衛生管理】
(1)製造区域は常に清潔を保持し、不衛生な物品を持ち込まないこと。
(2)手指は消毒液などにより、常に清潔に保つこと。
(3)使用する原材料を取り扱う設備・器具類は事前・事後において、衛生的な状態に保つこと。
(4)着衣は常に清潔にし、マスク、落髪防止のため帽子または頭巾を着用すること。
引用:http://www.jhpia.or.jp/standard/mask/mask3.html
全国マスク工業会に入会している企業のマスクの製造・管理環境はこうした具体的で明確な基準のもとに管理をされているので、マスクの衛生面も安心です。
◇化学物質の含有量は安全な基準値以下になっているか
先ほど、マスクの原材料には一定の含有量を超えると人体に有害な影響を及ぼす物質が使用されている可能性があるということをお伝えしましたが、全国マスク工業会では、化学物質の含有量についても以下のように明確な基準を設けています。
ホルムアルデヒドは、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(昭和 48 年 10 月 12 日法律第112 号)に定められた、別表第1中ホルムアルデヒドの項、家庭用品の欄において繊維製品のうち下着等の検出基準(75ppm 以下)に適合すること(出生後24月以内の乳幼児用を除く)。
化学変化により容易に 24 種類の芳香族アミン(以下「特定芳香族アミン」という)を生成するアゾ化合物は、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(昭和 48 年 10 月 12 日法律第 112 号)に定められた、別表第1中アゾ化合物の項、家庭用品の欄においてアゾ化合物を含有する染料が使用されている繊維製品のうちおしめ等の検出基準(30ppm 以下)に適合すること。
引用:http://www.jhpia.or.jp/standard/mask/mask3.html
ちょっと難しく感じますが、要するに「法律で人体に害を及ぼさないと定められている基準値以内の化学物質をマスクの原材料に使うこと」が、全国マスク工業会に入会している企業には義務付けられているのです。
◇商品表示は適切か
ここで言う商品表示とは、先ほどマスクを選ぶ基準のところでお伝えした「誇大広告をしていない」ということです。
全国マスク工業会の認定マークが表示されている商品は、パッケージに記載する項目の試験が義務付けられています。つまり、品質・性能を証明する試験を受け、試験結果に関する書類を全国マスク工業会に提出して認定がおりないと、その性能をパッケージに記載することができないのです。
また、記載の仕方についても、消費者に誤認されないような表現方法が明確に指定されています。
例えば、当社で取り扱っているマスクも検査を実施し、その結果BFE(バクテリアろ過効率)、PFE(微粒子ろ過効率)、VFE(ウイルスろ過効率)などの捕集性能の基準をクリアしたため、パッケージの製品情報に記載をしています。
つまり、全国マスク工業会の認定マークが記載されているマスクは、第三者により試験結果の正確さが証明されているため、誇大広告をしている心配がないのですね。
◇マスクの試験方法と評価は適切か
たとえ企業が「ちゃんと試験をしています」と主張をしても、その試験方法や評価の方法が適切でなければ、消費者が安心して製品を使用できるデータではなくなってしまいますよね。
そのため、全国マスク工業会では、試験方法や評価にも厳しい基準を設けて、共通の認識のもと試験が実施されるように義務付けています。
また、海外製マスクの品質に不安を感じる方もいますが、全国マスク工業会の認定マークが表示されている場合は、海外製であっても日本の検査機関((一財)カケンテストセンター)での検査をクリアしているため、安心して使用することが可能です。
偽物の認定マークに注意!見分け方は?
このように、マスクの品質において信頼の証である全国マスク工業会の認定マークですが、新型コロナウイルス感染症の流行によりマスクの需要が急増したことによる影響で、偽物のマークを使用したマスクも出回ってしまっています。
では、どうしたら偽物のマークと本物のマークを見分けることができるのでしょうか。
◇偽物のマークの見分け方
認定マークの偽物にはいくつか種類がありますが、インターネット上にある画像データを加工して『商品パッケージに』使用しているケースも少なくありません。
インターネット上にアップされている全国マスク工業会の公式画像には、偽造防止のため、マーク上にグレーで「JHPIA」の文字が入っています。
正式な認定マークを取得した企業も、Webサイトなどのメディアに認定マークを掲載する場合は偽造防止の「JHPIA」が入った画像を使用するように、全国マスク工業会から指定されています。
そのため、製品パッケージのマーク上にグレー部分が少しでも残っている場合は、インターネット上の画像を加工した偽物だと判断できるでしょう。
(引用:日本衛生材料工業連合会http://www.jhpia.or.jp/product/mask/mask4.html)
また、以下のようにマークに使用するフォントが異なっているケースもあります。例えば、偽物のマークでは「会員」の「員」の文字が、中国の簡体字(簡略化した文字)となっている場合です。
(引用:株式会社アプリテックスhttps://www.aplitex.co.jp/blog/%E3%81%82%E3%82%8C%E3%83%BB%E3%83%BB%E3%83%BB%E5%81%BD%E7%89%A9%EF%BC%9F.html)
どのような会社が入会している?審査の通過率はどのくらい?
実際に全国マスク工業会に入会しているのは、以下のような会社です。
マスク工業会に入会している会社
2021年1月1日現在で、全国マスク工業会の入会企業数は200社ほど存在します。
<全国マスク工業会の入会企業>
・アイグッズ株式会社
・アイリスオーヤマ株式会社
・イオントップバリュ株式会社
・王子ネピア株式会社
・株式会社カインズ
・花王株式会社
・小林製薬株式会社
・シャープ株式会社
・大王製紙株式会社
・東洋化学株式会社
・白十字株式会社
・ピジョン株式会社
・株式会社ブルボン
・ユニ・チャーム株式会社
・ロート製薬株式会社
※五十音順。上記は一部の加入企業です
入会企業のなかには、誰もが知るような大手企業の名前も数多くあります。多くの有名企業が加入しており、信頼性の高い団体であることが分かりますね。自社マスクの品質の信頼性を消費者に伝えるため、全国マスク工業会への加入および認定マークの取得が注目されているのです。
その他にも、加入している企業一覧は以下のページから見ることができます。認定マークが本物かどうかを見分ける参考にもなるので、購入しようとしているマスクの製造会社が加入しているかどうかを、以下のページも参考にしてチェックしてみましょう。
http://www.jhpia.or.jp/product/mask/mask5.html
全国マスク工業会の認定マーク審査通過率
続いて、全国マスク工業会の認定マークの審査通過率から、どのくらい厳正な審査が行われているのかを見てみましょう。
現在約600件のマスク製品が申請段階にありますが、この全ての製品に対して、すぐに認定マークが付与されるわけではありません。
過去のデータを参照すると、2020年6月から12月までにマスクパッケージ表示審査が4回行なわれており、4回の審査申請数の合計は約560件、うち修正の指摘を受けた商品は約410件にものぼります。
さらに、再確認審査を必要とした商品は約390件となり、審査申請を出しても、半数以上が修正や再審査の対象となっているようです。
この数字を見ると、全国マスク工業会の認定マークを取得するための審査が、いかに厳しいものなのかがわかります。やはり認定マークは、厳しい審査をクリアした商品のみが表示を許される、信頼の証といえますね。
まとめ
新型コロナウイルス感染症対策のため、マスクはいまや生活必需品となりました。従業員やお客様のマスク着用を徹底するため、会社でマスクを購入する機会も増えているでしょう。
しかし、マスク選びの際に品質の良し悪しを自分で判断するのは正直難しいのが現実です。
全国マスク工業会の認定マークは、厳しい審査基準をクリアした安心・安全なマスクの証です。マスク選びに迷っているという方は、ぜひ認定マークの有無をマスク選びのポイントにしてみてください。
他にも以下のようなポイントを意識してみるとよいでしょう。
・マスクの仕入れ先に全国マスク工業会の正式会員か確認する
・サンプルを送ってもらい認定マークを自分の目で確認する
・認定マークで品質は担保した上で、仕入先にはサイズのみ確認して発注する
少しの工夫で、マスク選びに失敗するリスクが軽減する可能性があることはもちろん、今まで品質確認の証明書を依頼したり、サンプル送ってもらったり、社内担当者が要していた時間と労力を削減できますので、試しみてはいかがでしょうか。