2021/04/05
【コロナ対策】フリーアドレスが増加!導入のメリットと感染リスクについて解説
新型コロナウイルスの影響により、多くの企業はオフィスでのあり方を大きく変化させてきました。テレワークの導入や出社人数の制限のほか、オフィスで自由に着席場所を選んで仕事をする「フリーアドレス」を導入する企業が増えています。
こちらの記事では、フリーアドレスについての概要や感染対策を踏まえた導入方法、考えられるリスクについて紹介します。
すでにフリーアドレスを導入している、もしくは検討中であるという経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
フリーアドレスとは?オフィスでの働き方の自由度が向上
フリーアドレスとは、「Free(自由)」「address(所在)」という語源のとおり、オフィス内で従業員が固定席を持たず、席を自由に選択できるオフィススタイルのことです。
2021年現在は、コロナ禍の中で密を避ける目的で注目されていますが、元々は1987年に清水建設技術研究所で考案されたものです。
当初はコスト削減などが目的となっており、現在のフリーアドレスと比較して「フリーアドレス1.0」などとも呼ばれています。
一方で2021年現在求められているフリーアドレスは「フリーアドレス2.0」として区別されています。
オフィス空間の効率的な使用、生産性の向上、コミュニケーションの増大、個々人にあった業務環境の提供など、導入の目的が変化してきており、リモートワークの普及など文化的な背景もあいまって、普及が進んでいます。
フリーアドレスの3つのスタイル
なお、フリーアドレスのスタイルは、以下のように大きく3つに分けることができます。単に席を固定しないというだけでなく、複数の空間を合わせて自由にしたり、チーム単位で自由にするなどがあります。
・フリーアドレス(オープンスペース型)
オープンスペース型は、フリーアドレスの基本的なスタイルです。多くの従業員が広いフロア内で自由に席を選択でき、図書館のような開放的な空間になっています。
また、管理者側からの視点では、レイアウトの変更が容易で、オフィスのコスト削減にもつながります。
導入のしやすさなどを考慮するとまずはフリーアドレス(オープンスペース型)で試してみるのもよいかもしれません。
・ABW(アクティビティ・ベース・ワーキング)
上記のフリーアドレスから、さらに進化したスタイルで、オープンスペース型との違いは、自分の目的に合わせて働く場所を選べるところです。
集中したいときは個室で働き、ディスカッションしながら働きたいときは、広い場所を選ぶなど、使い分けることで効率アップが期待できます。
まずはフリーアドレスを導入し、課題に合わせてABWで適宜調整していくのがよいでしょう。
・グループアドレス/チームアドレス
部門別、チーム別でフリーアドレスを導入し、そのなかで自由に席を選べるスタイルです。部門を限定したり、試験的に導入したりする場合に最適といえます。
特徴としては、同じ目標に向かって仕事をするので、チームワークの強化やコミュニケーションの活性化につながります。
また、新入社員を上司のそばに座らせることで、お互いが仕事しやすいといったメリットもあります。
スタイルによって自由度や導入のハードル、得られるメリットなどが変わってきますので、課題に合ったスタイルを選ぶことが大切です。
コロナ対策としてフリーアドレスが注目される理由
このように、フリーアドレスは「フリーアドレス2.0」として改め注目されています。その中でも特に大きな点が、新型コロナウィルスの感染防止対策の側面です。
コロナ禍で3密を回避するための対策として、オフィスでの働き方が大きく変わりました。例えば、出社人数の制限や時差出勤、テレワーク化、柔軟なオフィスのレイアウト変更などです。
オフィスで勤務する場合は、ソーシャルディスタンスの確保が必要ですが、従業員の出社率が高いとそれは難しくなります。反対に、出社率が低いとオフィス内に空席が生まれ、無駄なスペースができてしまいます。
フリーアドレスの導入は、ソーシャルディスタンスが取りやすいうえに、人数制限によって空いたスペースの無駄をなくすことができるという点で、注目されています。
コロナ禍でフリーアドレスを導入する3つのメリット
それでは、コロナ禍によるフリーアドレスの導入によって、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。順番に見ていきましょう。
感染症対策につながる
フリーアドレスでは従業員がそれぞれ自分の席を持たないため、書類などの紙をなくすペーパーレス化が基本となっています。
それにより、不特定多数の従業員が触れる可能性がある、資料やコピー機などを媒体とした接触感染リスクを抑えることができます。
テレワークとオフィス勤務の併用に適している
固定席を持たないフリーアドレスは、出社人数を減少させるためにテレワークとオフィス勤務を併用するケースに適しています。
また、久しぶりの出勤で自分の席がわからなくなるトラブルがなくなることや、従業員の異動・入社・退職などによる座席管理が不要になるというメリットが考えられます。
オフィスの無駄なスペースを縮小できる
座席が固定されていると、テレワークにより出社人数が減少して、オフィス内に空席などの無駄なスペースが目立ってしまいます。
フリーアドレスを取り入れることで、ソーシャルディスタンスを意識しながらスペースの縮小や有効利用が可能です。
コロナ禍でのフリーアドレス導入を導入する上での注意点
フリーアドレスを導入する上での注意点も併せて確認しておきましょう。レイアウトなどは導入してからでは変更が難しい場合もありますので、事前準備が大切です。
・導入する目的を明確にしてから始める
フリーアドレスといっても様々な目的があります。コスト削減、コミュニケーションの活性化、他部署との連携強化など目的が明確でないと、効果検証もしづらくなってしまいます。
また、導入準備をするにあたって、目的が不明確であれば、どこから準備していけばよいか優先順位も付けづらくなってしまいますので、しっかり決めてから始めましょう。
・事前に導入コストを把握しておく
導入するためには在席率の調査や、従業員への確認が必要です。また、レイアウト設計、デスクやパソコン、モニターなどの費用も発生するため、ある程度の予算も必要になります。
特にコミュニケーションに関する導入費用は最優先とも言え、ネットワーク環境、チャットツールなどは事前に用意しておく必要があります。
また、準備期間は会社の規模にもよりますが、3か月~6か月程度かかるため、しっかりとしたスケジュールを組むことが大切です。
接触感染リスクを抑えるためのルール作り
フリーアドレスはソーシャルディスタンスに有効な反面、感染者が出た際の濃厚接触者の特定が困難になります。
この場合は、従業員の日々の座席位置を記録したり、同じ席を一日利用するなどのルールを決めたりと、工夫が必要です。
また、パソコン、デスク、イスなどの共有物が増えることで、接触感染のリスクが高まります。不特定多数が触れるものはなるべく触らない、アルコール除菌を徹底するなどして感染を防ぐことが大切です。
オフィス規模によっては、フリーアドレス席にパーテーションを設置して、ソーシャルディスタンスに配慮する必要があります。以下のようなパーテーションの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
フリーアドレス導入により得られるメリットや、懸念されるリスクについて紹介してきました。
新型コロナウイルスの影響で企業での働き方が大きく変わるなか、感染防止対策としてフリーアドレスが大きく注目されています。
フリーアドレスを導入すれば、従業員が席を自由に選択でき、ソーシャルディタンスの確保やオフィスの省スペース化などに非常に効果的です。
同時に、導入のリスクに対してもきちんと対策しながら進めていくことで、効率的で安全なオフィス作りが実現するでしょう。