2021/02/08
社員研修をオンライン化するメリット・デメリットとは?必要なものや知っておきたいポイントも解説
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、職場の研修の場でもソーシャルディスタンスへの配慮が求められるようになりました。
これまでの社員研修といえば、会議室に社員を集めて前に立った講師が解説するスタイルが普通でした。コロナ禍においては3密を避けるためにも、扉を閉めた会議室に社員を集合させて実施するのは望ましいことではありません。こうしたなか、最近では社員研修をオンライン化する企業も増えてきています。
この記事では、社員研修のオンラインでの実施を検討中の企業向けに、オンライン研修のポイントや注意点について解説していきます。
オンラインでの社員研修とは?
オンライン研修は、講師と受講者のパソコンをインターネット回線でつなぎ、それぞれが別の拠点から参加する新しいスタイルの研修方法です。Webセミナーやウェビナー(WebとSeminarを組み合わせた造語)などと呼ばれ、在宅勤務と社員研修を両立できる手法として注目が集まっています。
オンラインでの社員研修では、受講者が自宅から参加するほか、一定数の受講者を会社の会議室に集めて講師が遠隔地から講義する方法があります。コロナ禍において会議室に受講者を集める場合は、受講者同士の席の間隔を空けることや、机上にパーテーションを設置するなど感染対策が求められます。
社員研修をオンライン化するメリット・デメリット
感染対策の観点で考えれば、オンライン化に対し前向きに取り組みたいところです。しかし、社員研修のオンライン化は、多くのメリットが得られる反面、多少のデメリットもあります。
メリット
オンライン化のメリットは、具体的に4つあります。オンライン化が実現すれば、感染症が落ち着きを取り戻したとしても、新たな社員研修の方法として定着する可能性が高いでしょう。
各支社の共同研修も実施可能
インターネット環境とWeb会議を行なうツールがあれば、自宅や外出先からでも参加できます。従来の社員研修のように、同じ空間に大人数で集まる必要がないため、当然感染症が拡大する心配もありません。
オンライン化することで、全国各地に展開している企業においては、各支社の共同研修も容易に実施可能です。全員が同じ研修を受けられるため、研修内容に偏りが生じる心配もなくなるでしょう。
コスト削減につながる
従来型の社員研修を実施するには、会場の手配や利用料、参加する社員の宿泊場所の確保や宿泊料、会場までの交通費など多くのコストがかかります。また、研修の際には資料の作成・共有も必要でしょう。
オンライン化に移行すれば、社員研修にかかっていた工数が減り、時間的にも金銭的にもコストの削減につながります。
また、Web会議ツールの機能で資料の共有もできるため、人数分の資料を印刷して用意する必要もありません。
通常業務への負担を軽減
社員研修の多くは、各支社の社員が一つの場所に集まります。研修に参加する社員や役職者も、現場から離れなければならないため、研修期間中の業務を他の社員がカバーすることになるでしょう。
その点オンラインであれば、勤務場所から参加できるため、通常業務への負担や影響を最小限に抑え、生産性を落とすことなく社員教育に注力できます。
スケジュールの調整がしやすい
通常の社員研修の場合、参加者全員がスケジュール調整に追われます。参加者が増えるほど調整は難しくなるでしょう。
また、研修会場が遠隔地の場合、前日の夜には会場付近の宿泊施設に到着しなければなりません。
オンライン化が進めば、現在地での参加が可能になり、スケジュール調整にかかっていた手間も大幅に減ります。
デメリット
社員研修のオンライン化を考えているのであれば、メリットだけではなく、解決すべき問題にも目を向けなければなりません。
参加者の意欲や態度がわかりにくい
通常の社員研修では、講師と参加者が近距離にいるため、表情や雰囲気によって参加者の意欲などをうかがえます。
しかし、オンラインで個別に細かい表情や反応を確認するのは困難です。
また、インターネット回線の環境によってはタイムラグやフリーズなどのトラブルが発生する可能性もあり、スムーズに意思疎通できない場面も想定されます。
このような問題を改善するには、別途で質問できる機会や交流時間を設けるとよいでしょう。チャットでも質問を受け付けるなど、回線トラブルがあった際の対処も考えておくとより安全です。
実際に参加しているという感覚を体感すれば、参加者の学習意欲の向上が期待できます。
ビジネスマナーやロールプレイングなどの実践がしにくい
集団オンライン研修の場合、ビジネスマナーの習得やロールプレイングなどの実践は現実的に難しいでしょう。
オンラインでのコミュニケーションでは動きの正確な把握が難しく、また一つの画面で確認できる人数も制限されてしまうのが大きな原因です。
この ような問題を解消するには、研修に必要な実技内容を前もって録画し、オンライン研修で視聴してもらう方法が有効といえます。
細かな動作でも近距離で撮影可能なことや、スマートフォンでの撮影が可能になった利便性を考えると、効率的で充実した研修内容に仕上がる可能性もあるでしょう。
オンライン社員研修に必要なものは?
オンライン研修を受けるには、あらかじめ受講環境を整えておく必要があります。
準備する主な環境・項目は以下の5点です。
- Web会議ツール(Zoom・Microsoft Teams・Skypeなど)がインストールされたパソコン
- イヤホンまたはヘッドホン
- Webカメラ(パソコンにカメラが付属していない場合)
- 研修資料(データは事前に配布)
- ネットワーク接続環境(Wi-Fi・有線・Wi-Fiテザリングなど)
事前準備として受講者に、ネットワーク回線への接続は問題ないか、音声はきちんと聞こえるか確認しておくように促しましょう。また、研修資料は事前に送付しておくことが望ましいですが、研修当日にも再度送付するなどして受講者に配慮する方法も有効です。
何を、いつまでに準備しておくのかは、事前にメールや社内チャットなどで周知します。研修前日にもリマインドメールを送付し、研修当日に慌てることがないようにすることもスムーズに研修を進めるうえで効果的です。
研修では社外秘の内容が含まれる可能性があります。社内情報の漏洩につながらないようプライバシーを保護できる部屋での受講する必要があることも、受講者に周知するようにしてください。
オンライン社員研修を行なう前に知っておくべきポイント
オンラインでの社員研修は、対面研修とは注意点が多少異なります。
注意点は複数あるものの、共通していえることは「オンラインであろうと、対面と同じぐらいの緊張感をもって臨む」ということです。
研修は「顔出し」が基本
研修時は、受講態度を確認するためにも、顔出し(Webカメラをオン)が基本です。顔出しのためにメイクや服装、部屋の片づけなどが必要となる場合もあるため、顔出しでの受講となる旨は事前に受講者へ伝えておきます。バーチャル背景を使用しても問題ない場合はその旨も伝えておくと良いでしょう。
オンラインでも双方向を意識する
前述したように、研修中は、講師の一方通行にならないよう、こまめに質疑応答の時間を設けるのがおすすめです。
ネットワーク環境が安定しない場合に備えて、研修内容を事前に収録しておき、それをもとに解説や質疑応答を行なう方法もあります。
オンライン通話は言葉が聞き取りづらい場合もありますから、解説はゆっくり丁寧にするよう心がけましょう。
また、当日「映像がうまく映らない」「音声が聞こえない」などのアクシデントが起きた際の問い合わせの連絡先も、事前に共有しておく必要があります。
研修内容は個人単位でできるものにする
オンラインでの研修はグループワークがしづらいという側面もあります。そのため、個人単位で課題に取り組めるようなカリキュラムを作成するようにしましょう。
コンプライアンスの再周知
テレワークに慣れていない場合、コンプライアンスなどの意識が低下しやすい傾向があります。必ず研修の最初に、しっかりコンプライアンスを守ることや企業情報の取り扱いに注意することを伝えましょう。
オンラインでの研修は、講師と受講者が同じ空間にいないだけで、顔出しによってモニター越しに相手の様子を確認できます。お互いにモニターを注視している場合に対面よりも見られている感覚が強くなりますが、1人でいると集中力を持続させるのは容易ではありません。そのため、講師・受講者ともに緊張感をもって研修に臨むのが大切です。
専門スタッフやレンタルスタジオの活用
オンラインで社員研修を行なうには、インターネット回線の整備やカメラ、マイクなど周辺機器の準備が必要です。
また、進行中に何らかのトラブルが起きた場合、速やかに解決できるように対応策を考えておかなければなりません。
しかし、このような対応ができる人員を社内で確保できないこともあるでしょう。
機材の扱い方や配信の段取り、トラブル対応などに不安がある場合は、専門スタッフがサポートしてくれるレンタルスタジオ の利用も考えられます。
配信に関する部分は専門スタッフに任せることで、本来の目的である社員研修の内容に集中しやすくなります。
まとめ
オンラインで社員研修を行なう際のポイントについて解説してきました。
初めてオンラインでの研修を実施する際は、講師も受講者も不慣れなため、しっかりと事前準備をすることが大切です。またトラブルが起きた場合に慌てることがないように、対処法なども周知しておくと良いでしょう。
オンラインでの研修は、新型コロナウイルス感染症対策として在宅勤務が普及するとともに注目されるようになりました。感染症収束後においても、働き方改革の一環として場所・時間を選ばずに社員育成ができるメリットがあることから一段と普及が進むと予想されます。