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【ワーケーションとは】企業が導入するメリットや懸念について解説

【ワーケーションとは】企業が導入するメリットや懸念について解説

新しい働き方改革の一つとして、日本でも注目され始めているワーケーションは、今後さらに企業の間で普及していくと予想されます。

しかし、ワーケーションによる成果をきちんと得るためには、前もって十分に準備をすることが大切です。

この記事では、ワーケーションを取り入れることで得られるメリットや、懸念される問題について紹介していきます。

導入を検討されている経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

企業が注目しているワーケーションとは

ワーケーションとは「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を合体させた造語であり、地方やリゾート地など旅先でのリフレッシュを兼ねて働く、新しい労働形態です。ワーケーションは近年、働き方改革を実現するための手法として日本でも注目され始めています。

テレワークと同じような意味だと思われがちですが、テレワークはおもに自宅やコワーキングスペースなどで仕事をし、業務効率や生産性の向上を目的としています。

一方、ワーケーションはリゾート地や旅先など、普段とはガラリと環境が違う場所で仕事をすることで、気持ちのリフレッシュや休暇取得を促進することが目的です。

ワーケーションの実施イメージ

では、実際どのようにワークとバケーションを両立していくのかイメージがつきにくい方もいるかもしれません。そこで、実際のワーケーションを行うイメージを紹介します。ここでは例えば、オフィスが東京、観光で京都、大阪に行きたいとして紹介します。

日曜日:移動日

起床後、まずは旅行と同じようにワーケーションを行う京都まで移動します。日曜日は休日なので、そのまま観光をし、ホテルや旅館に泊まります。

月曜日:日中は仕事、夜はプライベートの時間を満喫

営業日なので、仕事を行います。多くの場合Wi-Fi環境の整ったホテルや旅館でそのまま仕事をしますが、人によってはポケットWi-Fiを持ち歩いて、カフェなどに行ったりすることも可能です。

ランチは京都で有名なお店を堪能して、ホテルや旅館に戻ってきて定時まで業務を行います。

業務後は、また京都の町に出るなどして旅行と同じようにプライベート時間を満喫します。

火曜日:午前休を取得して移動、午後は仕事、夜はプライベートの時間を満喫

火曜日は午前休を取得して、大阪に移動します。午前中に移動を済ませて、大阪で昼食をとります。

午後は業務のため、ホテルがチェックインできるタイミングまで、ホテルのカフェなどで仕事を行います。チェックインが済んだらホテルの部屋で続きの業務を行います。

定時後は、大阪の街や食事など旅行を満喫します。

水曜日:午前は仕事、午後休を取得して帰宅する

最終日、午前中はホテルの部屋で業務を行います。チェックアウトしなければならない場合は、カフェなどに移動して業務を行います。

午後は休みを取得して、大阪を少し堪能した後、新幹線で東京に戻ります。その日中に帰宅できるため、木曜日は通常通り業務につくことが可能です。

上記はあくまで一例ではありますが、このようにワーケーションをすることで、リフレッシュしながら業務も進めることができます。

企業がワーケーションを導入するメリット

ワーケーションという新しい働き方を取り入れることで、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

休暇取得の促進

日本の労働環境では、昔から有給休暇が取得しづらい傾向にあります。

それを受けて平成31年に労働基準法が改正され、年に10日以上の有給休暇が付与される労働者は、毎年5日間の有給休暇を確実に取得することが義務づけられました。

労働基準法も改正され、「働くこと」と「休むこと」の両方が重要視されるようになったのです。

厚生労働省が発表した令和2年「就労条件総合調査」の結果によると、平成31年・令和元年の1年間における、労働者1人当たりの年次有給休暇の平均付与日数は18.0日(前年調査18.0日)となっています。

それに対し、平均取得日数は10.1日(同9.4日)で昭和59年以降過去最多、平均取得率は56.3%(同52.4%)で同じく昭和59年以降過去最高となりました。

新型コロナウイルスの影響で外出頻度が減った結果、取得日数と取得率の平均が前年と比べて増加傾向になっているかもしれませんが、政府の数値目標である取得率70%にはまだ遠い状態です。

ワーケーションは、旅先であっても会議への出席やメール、オンラインでの作業などができるので、仕事上の予定にとらわれずに長期休暇を取ることができます。

そのため、今後の有給休暇の取得促進にも大きく期待されています。

仕事とプライベートがともに充実することで、従業員の健康やモチベーションアップにもつながるでしょう。

健康経営を実現する

健康経営とは「企業が従業員の健康を経営的な観点でとらえ、戦略的に実践すること」です。それにより組織が活性化し、業績の向上など大きな成果につながると期待されています。

近年では過重労働や長時間労働により、労働者が心身の健康を損なうことが増えつつあります。さらには、新型コロナウイルスの影響でテレワークも普及し、運動の機会が減って肩こりや腰痛などの身体の不調、精神的ストレスを訴える人も少なくありません。

このような背景から、「健康経営」の重要性が注目されるようになりました。

ワーケーションを導入することで、旅行やスポーツを満喫でき、気分転換や心身のリフレッシュにもなるでしょう。気持ちが前向きになるので、仕事のモチベーションも高まります。

社員満足度の向上

ワーケーションの導入によって、自分の好きな場所で仕事をするなど従業員の働き方の選択肢が広がります。従業員の生活が充実すると業務効率の向上も期待できるため、ワークライフバランスの実現に有効といえるでしょう。

このように、従業員の生活の質が高まると、生産性や創造性の向上だけでなく従業員の満足度アップにもつながり、離職率の低下も期待できます。

ワーケーションを導入するためのステップ

実際にワーケーションを導入するためには、いくつかの事前準備が必要です。決めておくべき事項などを詳しく解説していきます。

導入の目的と範囲を決める

最初に、ワーケーションを導入する目的を決めましょう。

ワーケーションには、年次有給休暇の取得率向上や社員へのリフレッシュ効果、仕事への意欲・生産性の向上など、さまざまな効果が期待できます。

ワーケーションの導入によって最も得たいメリットは何なのかを考えることで目的が定まり、制度設計がしやすくなるでしょう。

ワーケーションの導入範囲を決める際は、自社の課題を抽出し、それを踏まえてどこまで認めるのかを検討することが重要です。

一般的に、ワーケーションで行ないやすい業務はデスクワークで、通信環境が整っていれば、オンラインで会議への参加もできます。まずはテレワークでも問題なくできるような業務内容から始めると、問題なく進められるでしょう。

ワーケーションの広がりとともに、ワーケーションを積極的に受け入れている自治体や宿泊施設なども増えています。

Wi-Fiなどの通信環境やワークスペースの併設など、仕事に集中できる環境が備わっていることも多いので、こうしたところからワーケーションの場所を選ぶのもおすすめです。

管理体制の構築

次に、ワーケーションの申請方法や勤怠管理の方法を定めます。

ワーケーション中、業務時間に関係なく仕事を続けてしまったり、反対に仕事が中途半端になったりすると、「リフレッシュを兼ねて働く」というワーケーション本来のコンセプトが成り立たなくなってしまいます。

それを避けるためにも、仕事と休暇のメリハリをしっかりつけることが大切です。

しかし、ワーケーションでは勤怠管理が難しい面があり、事前に管理体制を整えておく必要があります。

コアタイムの設定や、メール・チャットなどでタイムカードの代わりとなる報告ルールを決めておくなど、ワーケーション中でも労働時間を管理できるように整備しましょう。

ワーケーション申請時に、業務内容や就業時間帯などの予定を申告しておくことも一つの方法です。

実践&改善

ワーケーションを導入する際は、最初から会社全体を対象とするのではなく、特定の部署だけで行なってみるなど、従業員の理解を得ながらスモールスタートで進めることをおすすめします。

ワーケーションに対する考え方や感じ方には、さまざまな反応があるかもしれません。

導入の目的や得られるメリットを従業員に詳しく説明し、従業員の声を聞きながら改善を重ねると、さらに効果のあるワーケーション制度の構築につながるでしょう。

ワーケーションの懸念点は?

ワーケーションの懸念点は?

次は、ワーケーションの導入により、懸念される点について紹介します。

オンオフのメリハリがつきにくい

ワーケーションは仕事と休暇を融合させた新しい働き方ですが、公私の境界線があいまいになりやすいのが難点です。きっちり切り替えできることが望ましいですが、従業員によっては仕事が気になってしまい、しっかりと休むことができない可能性があります。

休暇の際には極力仕事の端末から離れるようにするなど、メリハリのある働き方を意識することが大切です。

旅費などのコストがかかる

新しい制度を導入する際には、コストがかかることが考えられますが、ワーケーションでも例外ではありません。

オフィスでの勤務や在宅勤務とは違い、移動費や宿泊費のほか、チャットツールやオンラインでの会議ツールの用意が必要となるでしょう。その他にも、ルーターの支給などネットワーク環境を整えるための費用を含め、さまざまなコストがかかります。

コミュニケーションが取りづらくなる

ワーケーションでは、迅速なコミュニケーションが取りづらいことも課題の一つです。

仕事が滞ってしまわないよう、メールやチャットなどコミュニケーションにおけるルールを策定しておきましょう。

ワーケーション中の仕事内容は、なるべく急を要しないものにするなどの工夫も必要です。

また、会社からいつ連絡が来るかわからないといった状況では、緊張が続いてリラックスできなくなってしまいます。

あらかじめコアタイムを設定しておくと、スムーズなコミュニケーションが取れるでしょう。

ネットワークセキュリティの強化・対策が必要

ワーケーションでは会社のデータを外部に持ち出すため、パソコンの盗難リスク、ウイルス感染や不正アクセスによる機密情報の漏洩リスクなど、セキュリティ面でのリスクが考えられます。

これらのリスクを抑えるためには、セキュリティ対策をしっかりと強化することが大切です。従業員に対して情報や端末の取り扱いを周知したり、安全なネットワーク環境を整備したりする必要があります。

ワーケーション時の就業規則等の見直し・検討が必要

ワーケーションを導入しても、通常の勤務と同じようにフルタイムで従業員が働くことになれば休暇の意味がありません。半日休暇や、有給休暇として一日休む日を設けるなど、仕事と休暇をしっかり区別することが大切です。

また、遠隔での業務だと勤怠管理が難しくなります。新しい勤怠管理ツールを利用して始業・終業時間の報告を徹底し、企業側と従業員側との信頼を損なわないように決めておくことが必要です。

仕事と休暇を区別しておくと、旅先での労災問題の解決にもつながります。

リゾート地での休暇は、気が緩んで事故なども起こりやすいため、労災の適用範囲をあらかじめ検討しておきましょう。

まとめ

ここまで、企業がワーケーションを導入する際のメリットや懸念点について紹介してきました。

ワーケーションは新しい働き方として近年、日本でも注目されています。ワーケーションの導入により、従業員の有給取得の促進、ワークライフバランスの実現、従業員の満足度向上など、さまざまな成果が期待できます。

ただし、いくつかの懸念点があるため、導入する際には新しいルールの規定やセキュリティ面の強化などの検討が必要です。

ワーケーションの導入による恩恵を得られるよう、必要な対策をしていきましょう。

※新型コロナウイルスによる感染症拡大により外出自粛要請が発令されている地域もあります。リゾート地や旅先など、普段とは環境が違う場所で仕事をする“ワーケーション”を実施する前には、政府や各都道府県、市区町村から発信されている感染症や感染対策に関する情報確認が必須となります。ワーケーション実施中も、基本的な感染対策を徹底する、プライベートの時間を街で過ごすのではなく、状況に応じてホテル内で過ごすなどの対応が求められます。

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