2023.04.17 公開 (更新日:2023.06.26)

【アルコールチェックの義務化とは】 法律改正のポイントと必要な準備を徹底解説

【アルコールチェックの義務化とは】法律改正のポイントと必要な準備を徹底解説

アルコールチェッカーの義務化とは

2022年4月施行の道路交通法改正により、「安全運転管理者のアルコールチェック業務が、白ナンバー事業者においても義務化されたこと」を指します。今までもタクシーやトラックなどの緑ナンバー車両では義務化されていました。今後は白ナンバー車両も運転前後のアルコールチェックが必須です。

この対象拡大は2022年4月1日からは目視等による酒気帯び確認の義務化。2023年12月1日からはアルコール検知器を使用した酒気帯び確認が義務化され、多くの企業がそのための対策を迫られています。

アルコールチェックの義務化が対象拡大された背景
アルコールチェック義務化の対象範囲が白ナンバー車両まで拡大された背景には、2021年6月に発生した悲惨な死傷事故の影響があります。千葉県で、下校途中の小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、男女5人が死傷。この事故を受けて、同年8月4日に「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」が発表されました。この中で、安全運転管理者の確実な選任や乗車前後のアルコールチェックなどの追加が盛り込まれました。この事件が飲酒運転の厳罰化を進め、対象外であった白ナンバー車両にもアルコールチェックの義務を広げたのです。

【徹底解説】アルコールチェック法律改正について

アルコールチェック義務化の対象

・乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持する企業
・白ナンバー車5台以上を保持する企業

白ナンバー車とは

アルコールチェックが義務付けられていた白ナンバー事業者とは、事業用自動車以外の一般的な車両(白ナンバー車両)を事業利用する事業者のことで、法人企業であれば自社の荷物や人員を無償で運搬する車両の利用などが挙げられます。

義務化の内容

2022年4月1日から義務化された内容
・運転前と運転後に運転者の状態を目視等で確認し、運転者の酒気帯びの有無を確認する
・酒気帯びの有無について記録し、その記録内容を1年間保存する
アルコールチェックの実施や記録、記録の保管については安全運転管理者が行う。営業所が各地にある場合も管理者が状況の把握を行い、記録を管理する。

2023年12月1日から義務化される内容
・目視等の確認に加え、アルコール検知器を用いて、運転前後の運転者の状態を確認する
・結果を1年間記録・保存すること
・アルコール検知器は常時有効に保持する

アルコールチェックを怠った場合は?

アルコールチェックを怠ると安全運転管理者の業務違反になります。直接的な罰則は現時点ではありません。しかし、公安委員会によって安全運転管理者を解任される罰則が科せられる可能性はあるため、注意が必要です。もし運転者が飲酒運転を行った場合、運転者だけでなく、代表者や責任者も、罰則・罰金を科される恐れがあります。

アルコールチェック義務化に伴い必要な準備

アルコールチェック義務化に伴い必要な準備

1.安全運転管理者の選任

乗車定員11人以上の自動車を1台以上保有している、またはトラックを含むそのほかの自動車を5台以上保有している場合、事業所ごとに安全運転管理者を1名選任しなくてはなりません。アルコールチェックは原則安全運転管理者による実施が必要であり、安全運転管理者の不在時や確認困難な場合、副安全運転管理者や安全運転管理者の業務を補助する人の実施が可能です。

安全運転管理者を選任していない会社・事業所はアルコールチェック義務化に伴い、まずは安全運転管理者を選任しましょう。していない場合罰金を科せられます。

2.アルコール検知器の準備

アルコール検知器は、酒気帯びの有無を音・色・数値等により確認できる性能・機能をもつ必要があります。正常に作動し、故障がない状態で常時有効に保持する必要があるため、定期的に故障していないか等チェックを行いましょう。

3.アルコールチェックの記録作成・保管体制の整備

安全運転管理者には、アルコールチェックの記録を作成し、1年間保存することが義務付けられます。アルコールチェックについて、安全運転管理者が記録すべき事項は以下のとおりです。

☑︎確認者名
☑︎運転者
☑︎運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号、又は自動車を識別できる記号・番号等
☑︎確認の日時
☑︎確認の方法
 ・アルコール検知器の使用の有無
 ・対面による確認でない場合は、具体的な確認方法
☑︎酒気帯びの有無
☑︎指示事項
☑︎その他必要な事項

※書類形式に指定はないが、データ形式の方が確認しやすい。各県の警視庁HPでは、無料ダウンロードで使えるpdfやエクセルの記録表も提供しているので活用すると便利。

アルコールチェックする時のポイント

チェックを行うタイミング

アルコールチェックは、「運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者」に対して実施することになっています(道路交通法施行規則9条の10第6号)。よって1日につき、運転業務の開始前及び運転業務終了後の2回、アルコールチェックを実施する必要があります。必ずしも個々の運転の直前・直後にその都度行わなくても構いません。運転業務が断続的に発生する場合には、運転を含む業務の開始前や出勤時、及び終了後や退勤時に行います。

目視等でのチェック方法

安全運転管理者は、目視等で運転者の顔色、呼吸の臭い、応答の声の調子などを確認します。点呼時に併せて体調も確認しましょう。ただし2023年12月1日以降、目視のみのチェックは法令違反となりますのでご注意ください(将来的にはアルコール検知器による確認も併せて実施)。

直行直帰の場合

直行直帰・遠隔地での業務を行っている場合、警察庁はなりすましを防止するためのカメラ・モニター利用を推奨しています。また、しっかり確認するためにも携帯型のアルコール検知器の携行が推奨されています。

安全運転管理者が不在の場合

安全運転管理者が出張などで不在の場合、他の担当者がアルコールチェックをしても構いません。副安全運転管理者がいる場合には、その者にチェックを担当させましょう。いずれにしても、安全運転管理者が行う場合と同じ手順・精度でのチェックを求められます。アルコールチェックに関するマニュアルを整備し、定期的に担当者の研修を行い、安全運転管理者の不在時にも適切にチェックが実施される体制を構築しましょう。

常に最新情報を入手し徹底したアルコールチェックを。

アルコールチェックの義務化について紹介してきました。これまでアルコールチェックが義務化されていなかった白ナンバー車がチェックの対象になり、アルコールチェックを怠ると安全運転管理者の業務違反に問われます。もし運転者が飲酒運転を行った場合は、運転者だけでなく代表者や責任者も、罰則・罰金を科される恐れがあります。少しでも悲惨な事故を減らすよう、常に最新の情報を入手し、対応できるように心がけましょう。

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