2023.03.28 公開
飲酒運転による悲惨な交通事故を減らすため、2022年10月から一定台数以上の自動車を保有する事業所で、アルコールチェッカーを使用したアルコールチェックが義務化されました。
※2022年7月14日の警察庁発表では、10月以降の義務化の予定は当分延期
ところが、肝心のアルコールチェッカーが、飲酒していないにもかかわらず反応してしまうケースが報告されています。本記事では、アルコールチェッカーがなぜ誤探知するのかについて解説していきます。
目次
アルコールチェッカー誤検知の原因は、以下のようなものが考えられます。誤検知の要因と対策について解説します。
下記はアルコールチェッカーに反応しやすい食べ物や飲み物の一例です。
・キムチ
・味噌汁
・あんぱん
・蒸しパン
・栄養ドリンク
・エナジードリンク
・ノンアルコールビール
・洋菓子
・生菓子
・塩辛…など
キムチや味噌などの発酵食品を食べた直後には、アルコールを検知されることがあります。それ以外にもパンなど製造の過程で発酵させる食品や、生産過程で使用された微量のアルコールが残存している食品に反応するケースもあります。また、ノンアルコールと表記されているビールやチューハイでも微量のアルコールが含まれていることは多いので、摂取には注意が必要です。
タバコを吸った直後の口腔内には一酸化炭素が残っており、アルコールチェッカーの反応に影響を及ぼしてしまうことがあります。喫煙の習慣がある方は、アルコールチェッカーの誤検知を防ぐためにも、チェック前のタバコに注意する必要があります。
歯磨き粉やマウスウォッシュ、ミント系のガムなどのような口腔ケア用品を使った直後も、高いアルコール値が検知されることがあります。タバコと同様、アルコールチェックの直前は口腔ケア用品を避けるか、使用後20〜30分時間をおいてからうがいをしてチェックを受けることが推奨されます。
アルコールチェッカーは、体内のケトン体をアルコールと誤認して反応してしまうことがあります。ケトン体とは、体内の糖や脂肪を代謝する際に自然発生する物質の総称です。糖質制限をしていたり、個人の体質によって高くなる場合があります。
アルコールチェッカー誤検知の理由として一番考えられるのが、前日のアルコールが抜けていないケースです。アルコールは、肝臓で分解されて体外へ排出されるまでに、我々の想像よりも時間がかかるのです。目安としては1時間あたり4gの分解しかできません。
ただし、アルコール分解にかかる時間は、体重・性別・年齢などの個人差や飲んだ量・アルコールの度数によって大きな差が出ます。また、体重が重い人のほうが血液量も多く、血中アルコール濃度が低くなり、年齢が上がるほどアルコールの処理能力が低下することからも「何時間」か一概に断言できないのです。
他にも、体質や疲労によってもアルコールの分解スピードは変わります。そのため運転を翌日に控えた方は、前日は飲酒しないか、しても早めに終えたほうがよいでしょう。
▼飲酒量と体内アルコール濃度等の関係
飲酒 | アルコールの 重さ(g) | アルコールが体内から 消える推奨時間 |
---|---|---|
ビール(5%) :350ml | 14g | 3.5時間 |
ビール(5%) :500ml チューハイ(7%) :350ml 日本酒(15%) :160ml(0.8合) ワイン(12%) :ワイングラス2杯(200ml) ウイスキー(40%):ダブル1杯(60ml) | 20g | 5時間 |
アルコールチェッカーを手入れするとき、アルコール除菌スプレーを検知器に直接吹きかけたり、アルコール除菌シートで拭き取ったりしてしまうことがあります。結論からいうと、この方法はアルコールチェッカーの手入れには向かず、誤反応が起こりやすくなってしまいます。消臭剤や芳香剤、掃除用クリーナーなどアルコール成分が含まれる製品を使用したり、それらを使用した場所での測定は、結果に影響を及ぼす可能性があります。
▼「アルコールチェッカーの消毒・手入れ方法」についてはこちらの記事で詳しく解説しています!
ここまで、アルコールチェッカーの誤検知の原因について記載してきましたが、こちらでは上記した以外の防ぎ方をお伝えします。
アルコールチェッカーのセンサーモジュールが汚れて臭いがつくと、誤反応の原因となります。そのため、アルコールチェッカーの取扱説明書に従って定期的に掃除しましょう。また、センサーモジュールは経年劣化するので、古くなったら取り換えてください。
周りの環境による数値への影響を防ぐために、周囲に浮遊するアルコールの滞留を解消すべく換気し、風通しの良い環境にしてください。
アルコールチェッカーは、大きく分けて「半導体式アルコールチェッカー」と「電気化学式アルコールチェッカー」の2つの種類があり、アルコール濃度を測定する原理が異なります。電気化学式の方が割高なことが多いですが、一般的に周囲の影響を受けにくいとされています。
アルコールチェッカーが反応する要因はいろいろと考えられます。測定値はあくまでも一判断材料という意識でいましょう。事業所などで初めてアルコールチェッカーを導入する際には、アルコールチェッカーの誤検知について社員へ周知を行うとともに、目視での確認を徹底する必要があります。